「フォースの覚醒」を観る上で役立ちそうな、スターウォーズの「ライトモティーフ」を集めてみた。

Star_Wars_The_Force_Awakens
【2015年12月18日 17:00頃:「フォースの覚醒」公開直前の暫定版①】
※後日、youtubeのリンクを増やすなど、追記を予定しています。

【2015年12月19日 9:00頃:暫定版②】
※youtubeのリンクを追加。文章は、また改めて更新予定。

そもそもライトモティーフとは何か?

スターウォーズの音楽が語られる際、時おり「ライトモティーフ」という単語が使われることがある。ライトモティーフ(Leitmotive)はドイツ語で、「示導動機」と日本語に訳されることもある。

Leitは英語でいうところの”Lead”や”Guide”になるので「導き示す」という意味、モティーフ(モチーフ)は作品の主題やテーマなどを表す言葉だが、クラシック音楽の場合は主題よりも断片的な「動機」を指し表す言葉として用いられている。

つまり、ライトモティーフとは「何かを導き示すための旋律の断片」である。音楽で、雰囲気や感情を描くだけではなく、具体的な意味を表す(あるいは、連想させる)ために用いられる手法なのだ。

スターウォーズで用いられるライトモティーフについて、これまで多くの人たちによって説明されてきており主要なライトモティーフは本作のファンであれば、よく知っていることであろう。しかしながら、ファンが呼ぶ「通称」と、ライトモティーフの実際の使われ方が一致しているかどうかは結構怪しいところもあるのが実情だ。

そこで、今回はファンサイト等の情報をもとにしつつ、「フォースの覚醒(エピソードⅦ)」でも関わりがありそうなライトモティーフについて、大雑把に復習していくことにしよう。
http://lucasfilm.wikia.com/wiki/Star_Wars_music
https://en.wikipedia.org/wiki/Music_of_Star_Wars#First_appearance_in_Star_Wars
http://www.aaronkrerowicz.com/star-wars-blog/a-new-hope-index-of-musical-themes-and-motifs

とりわけ、下記の記事はエピソードⅣにおいて、主だったライトモティーフがどの場面で使われているかリストアップしてあり、特に参考になるだろう。
http://www.aaronkrerowicz.com/star-wars-blog/a-new-hope-timeline-of-musical-themes-and-motifs

ルーク・スカイウォーカー

まずはエピソードⅣ~Ⅵにかけての主人公であるルーク・スカイウォーカーを「導き示す」モティーフだ。 続きを読む⇒


エピソード7「フォースの覚醒」公開記念! ~スター・ウォーズの音楽分析【初級編】

Star Wars

今回のテーマ: スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望 Star Wars Episode IV: A New Hope(1977)
※日本では1978年公開
映画本編を観たことのない人は沢山いるかもしれないが、「スターウォーズ」という名前や、有名なメインテーマの音楽を聞いたことのない人はほとんどいないだろう。

映画史、SF史、サブカル史に燦然と輝く不朽の名作映画「Star Wars スターウォーズ」。2005年に公開されたエピソードⅢ以来、実に10年振りの新作が2015年12月18日に世界で一世に公開される。2005年に公開されたのはプリクエル(前日譚)となる内容のため、ストーリーが正式なかたちで先に進むのは、なんと1983年以来32年ぶり(!?)とあって、世界中の映画ファンたちが浮き足立っている。

John_Williams_with_Boston_Pops-2 その超人気シリーズの魅力の一端を担っているのは、間違いなく巨匠ジョン・ウィリアムズ(1932- )作曲の映画音楽だ。2010年には、あのウィーンフィルがはじめて演奏するなど、既にクラシックな地位を確立したといっていいだろう(その他に、2015年にはベルリンフィルも演奏している)。

ジョン・ウィリアムズの音楽が魅力的なことは間違いないが、では実際の映画本編のなかでは具体的にどのような役割を果たしているのか? これから、何回かに分けて、その秘密に迫ってみたいと思う。まず第1回は「音楽が喚起するイメージ」の話をしよう。そのために、欠かせないのは、音楽の「パクり疑惑」についてだ。

名映画音楽にパクり疑惑!?

Erich Korngold(※以下ネタバレ有り) スターウォーズの音楽に対して、はっきりとパクりと言われることは(少なくとも日本においては)それほど多くないように思われるが、他の曲にそっくりな部分が多いのも割と知られた話である。とりわけ、ハリウッドの映画音楽の基礎を作ったとされるエーリッヒ・コルンゴルトの作曲した映画音楽「キングス・ロウ」(1942)(邦題「青春の嵐」)のメインテーマの似かより方は相当なもので、パクり疑惑が持ち上がっても不思議ではないほどだ。

比較動画 ジョン・ウィリアムズ『スター・ウォーズ メインテーマ』とコルンゴルト『キングス・ロウ』

はじめて、聴かれた方は驚かれたであろう。テンポ感こそゆっくりであるが、旋律の前半部分がまるで同じであることは誰の耳にも明らかだ。更には、こうした事例はスター・ウォーズの音楽のなかで他にいくつもあるのだ。果たしてこれは、いわゆる「パクり」なのだろうか?

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実は「親離れ」の歌だった!?~『Let It Go ありのままで』に隠された意味

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今回のテーマ: アナと雪の女王 Frozen (2013)
※日本版は2014年公開
 

2014年3月に公開されるやいなや、日本でも驚異的なペースで大ヒットしたディズニー映画「アナと雪の女王(原題 “Frozen”)」。その勢いは大晦日の紅白歌合戦におけるエルサ役オリジナルキャストのイディナ・メンゼルと、日本語版アナの神田沙也加の共演まで衰えることもなく、2014年に最も話題をかっさらったエンターテイメント作品といって間違いありません。

また商業的に成功しただけでなく、様々な評論家やレビュアーからも高い評価を受けたことを忘れてはなりません。ディズニーの新時代を切り拓いた、大傑作映画であることは間違いないでしょう。

ただ、絶賛している映画評論のなかでも、音楽に特化して深掘りしたものはそれほどないのが現状です。これだけ多くの人が目にし、多くの人によって語られている映画であっても、まだまだ読み解かれていない魅力が沢山あるのです。

そこで今後、何回かに分けて「アナと雪の女王」を音楽的な側面から改めて分析していきたいと思います。分析するとどんなことが見えてくるのか? 私が「アナ雪」を音楽的に分析しようと思うきっかけとなった『Let It Go ありのままで』(以後、原題のLet It Goと表記します。)の読み解きを通して、お伝えしようと思います。

1.『Let It Go』について

Idina_Menzel_Defense.gov_Crop(※以下ネタバレ有り)オリジナルはイディナ・メンゼル、日本語版では松たか子の歌唱により、世界的大ヒットとなったLet It Go。劇中では、前半(正確には三部構成の中の第1部)のクライマックスを飾る楽曲だ。

物語の構造上は、仲の良い姉妹の象徴としての『雪だるまつくろう Do You Want to Build a Snowman?』がメインテーマになってしかるべきにも関わらず(※この点の解説は、別の回に譲ります)、ロペス夫妻により作曲されたLet It Goが、あまりにも素晴らしかったため、ストーリーが変更されていったという経緯があるようだ(※詳細は、RHYMESTER 宇多丸氏の評論をご参照あれ)。映画全体における、この曲が果たしている役割・立ち位置は最終的にどのようなものとなっているのか? それを読み解いていくことにしよう。

2. イントロ(前奏)の旋律に隠された意味!

Let It Goのイントロは、ピアノによる寂しげな旋律ではじまる。この旋律が重要な意味をもつので、パッと思い出せない方は下記の動画でご確認あれ。 今や世界中の人々がこの数小説で瞬時にLet It Goだと分かるのではないだろうか。シンプルでありながら何気なく印象に残るイントロであるのだが、実はこの旋律、劇中で先に登場した旋律を、変形させたもの。しかもLet It Goと並ぶ、アナ雪の代表曲である『雪だるまつくろう』のなかに、2度も登場しているのである。

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